“ Chip Stock Music Flow ” 有難うございました。

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芦安という南アルプスの玄関口に佇む山間の集落。ここにいつしか使われなくなっていた元村営キャンプ場がありました。2013年、子供の頃の思い出を取り戻すべく地元有志により再生。しかし翌年冬、再開して半年も経たずに残土の受入地としての計画が推進され、復活したキャンプ場はやがて南アルプスの土の中に埋まる予定となってしまったのです。

橋を架け替え、草を刈り、お客さんいっぱいの笑顔を想像しながら掃除に明け暮れた日々。そんな復活に尽力してきた人たちの思いを最後何か形にしたいと、このイベントは始まりました。

折しもユネスコエコパーク登録も決まり、自然保護や地域振興への更なる意識高まる南アルプス。3000m級の山が連なり固有種も多く生息する日本屈指の自然の恵みに感謝しながら、いい音楽とともに沢山の笑顔をこのキャンプ場に残して下さい。

いつかこの場所に、その芽が出る事を信じて・・

“ Chip Stock Music Flow ”

いたずらに単語を並べた今回のタイトルには、それぞれの小さな思いのかけらをChipと表現し、それが集まった音楽と笑顔の楽しい時間を、という思いを込めています。

我々の手の届かない大きな計画が推進されていく中で、様々な立場の人がいても、共有した楽しい時間に共有出来る思いはきっとあるはず。今回出逢った最高の場所で、それぞれ好きなように楽しみながら過ごせたら・・そして「またやろうよ」という種が残せたら嬉しいなと。

芦安は南アルプスでも主要な北岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山などへと繋がる登山口のマイカー乗入れ最終地点の町。甲府や韮崎からも30分程度と小淵沢より街に近い場所ながら、山間に佇む集落はそれを感じさせない奥深い山村のよう。古くは鉱山で栄えた村は頻繁な土砂災害を抱えながらも今も沢山の人々が暮らしています。

そんな小さな山間の町に生まれ住む青年達が「芦安若人の会」なるものを作り、キャンプ場を再開してくれました。そのキャンプ場を初めて訪れた時には既に今回のイベントの絵がハッキリと浮かび上がったような気がしています。急峻な斜面に奇麗に整地された何段かのフィールド、中央に配置されたログのステージなどはキャンプ場というよりは既にイベント会場としての体を成していました。きっと開設当初から村の催しなどでも使う事を考慮していたんだろうなと想像出来る場所でした。

閉鎖の話しを聞いたのが春。すぐにイベントの準備に取りかかるのですが、行く度にこの地の魅力を感じました。そして「ここが紅葉したら奇麗だろうね」と想像していた通り、イベントが近づくにつれ会場は紅葉に染まっていきました。

キャンプ場を管理する芦安の3人は普段別々の仕事で働いているのですが、イベント数日前よりいきなり階段作りが始まっていました。予定していた訳ではありませんが「ここに階段あった方が便利じゃんねぇ」と毎日夜仕事が終わってから作業してくれていたようです。数日間雨でしたが準備で昼間キャンプ場に行く度に進んでいる作業にこっちも力が入ります。*実際当日はこの階段に大助かり。

SUNDAYの石川くんは看板づくり。流石にお洒落さんはセンス抜群。当日は更に看板全てにドライフラワーが飾られました。このイベントに対するそれぞれのおもてなしの心が伝わる1週間でした。

心配していた天気はすっかり心配も無くなり一安心。自分はお陰さまでほとんどの作業をそれぞれに任せ、道路案内看板付けたり、ステージ設営のお手伝いしたりと、他事務作業や連絡係。時間は無いながらも気持ち的には不思議とゆったりとした気分で当日を迎える準備が出来たのでした。

SUNDAY石川くんと自分の最初の接点はJeanNassaus。今回そのJeanNassausのスタッフが陰ながらの全面協力をして下さいました。ステージ脇の布やフラッグ、管理棟の巨大タペストリー、入口から橋、会場内迄の沢山のフラッグや布装飾はJeanNassausスタッフによるものです。

見事なエントランスの流木アーチは甲府の小田切さん。会場内の焚き火もお任せしました。キャンプにも慣れた佇まいで数日間コーヒを沸かしながら淡々と作業を進めていました。

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いよいよ当日の朝。予報通りの晴れ渡る空。おまけに気温も高く、絶好のキャンプ日和です。

まずは出店者の皆様の会場入り。GoHemp, Kazoo, OjagaDesign, Flowerman, SixMoonDesigns, 7thTrick, KitazawaArt, 木楽舎,そしてSUNDAYと素晴らしいショップがラインナップ。

飲食にはDill eat,life., SunkingCafe, ThumbsUp, Cafe NaturalRhythm, CafeKachil, こいのぼり, 寺崎コーヒー, そして地元芦安のほうとう屋さんと県内でも話題のお店から県外まで魅力満載のお店がみんなのお腹を満たしてくれました。

そして12時、いよいよ開場。晴れ渡る最高の景色の中で沢山の笑顔のお客さん達を迎える事が出来ました。会場迄駐車場からもかなりの坂を歩くのですが、皆さんご協力有難うございます。

キャンプ泊のお客さん達は大荷物でも慣れた手つきでサイトまで。傾斜地で段差もある中、有難うございます。ぜひこのキャンプ場を楽しんで下さい。とにかく今回天気に救われた部分は大きいです。

場内を散策したり、写真を撮ったり、ビール飲んだりしながらそれぞれ時間は過ぎていきます。ショップにも沢山の人、ワークショップにも終始沢山のお客さんが参加してくれました。
午後2時からは最後の日なたで青空ヨガがスタート。渡辺まき江さんの元、ここにも沢山の参加者が集まり、気持ち良さそう。

ステージオープニングには当初真面目な挨拶を考えていましたが、前々日に大幅変更(笑)。ここは僕ららしくいこうとSUNDAYの皆さんとぶっつけ本番で「ようこそ」の替え歌。弾けました。後は頼みます(笑)

いよいよステージもスタート。本部に戻ってフィールドを見下ろすと、初めてこのキャンプ場に来た時に浮かんだ景色、長年自分が思い描いてきた世界が眼下に広がっていました。自由と秩序のバランスの取れた最高の雰囲気にちょっと涙。

 

中沢ノブヨシ、Keison、Leyona、東田トモヒロ、Caravan。

ステージラインナップは気の知れたアーチスト達。ここ数年SUNDAYでもライブを繰り返して来ていたので、みんな気心知れた安心の素晴らしい友人達。今回の我々の思いに二つ返事で参加を承諾してくれました。

おまけにみんなアコースティックギター1本を抱え、ソロで参加してくれました。普段のコンサート、他のフェスやイベントではバンドがあったりサポートがいたりしますが、みんなが1人でステージに上がるその様は、逆にそれぞれの思いを感じ、またこのイベントを際立たせていたような気がします。

またそれを支えてくれたのが、SUNDAYや桜座でもお世話になったサウンドマン山本さんのPA。気持ちよく山に地面に降り注ぐような音に終始してくれました。

視覚で楽しませてくれたのがOVERHEADSの助川さんとChiquita。最近は大きな仕事も多く恐る恐るコンタクトを取りましたが快く参加してくれました。自分には10年振りの懐かしい再会です。

オイルを使ったアナログなライトショーは満天の星空の下、みんなの目も釘付けです。

最後には出演者全員でセッション。ありそうで中々無いこのラインナップの横並び。特別な夜だったと思います。

そして終演。スタッフや出店者もみんなステージに上がって 特別な夜に幕を下ろしました。
芦安の青年3人の涙が忘れられない夜になりました。

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泊まる人、帰る人、片付け、それぞれに別れて名残惜しくもパーティーは終了。
キャンプ場は翌日も晴れ渡り、キャンプは満喫出来る景色と気候の中で過ごすことができたのでは無いかと思います。皆さんの笑顔、本当に有難うございました。

300人規模の、フェスと呼ぶには小さすぎる、ちょっと大きなパーティー。

ひとつの方向性を持ちながらそれぞれの自由な空間。音楽のマジックと力。参加者全員の協力と調和。自然の恵みと力(最高の場所と時期と天気)色々な力や流れが織りなす中で、これが最後と言う事もあって主催側ながら感動してしまいました。あまり感傷的にならずに済んだのも参加者皆さんの力添えです。

関わって頂いた全ての皆さん、集まってくれた全ての皆さんに感謝いっぱいです。本当に有難うございました。

夢の後、

翌々日のキャンプ場は一面落ち葉に埋め尽くされてきました。
本当に奇跡の一日だったような気がします。

この日も、そして春からの準備中もいつもキャンプ場内に測量の人たちがいます。ずっとやりきれない思いでしたが、今はこれからの芦安が楽しみです。芦安若人の会を中心に、 きっと素敵な南アルプスの玄関口としてこれからも町が存続していくことを願っています。

温泉も沢山ありますので、小淵沢に来た際、また近くに来た際にはぜひ芦安に立ち寄ってみて下さい。

*写真提供:小幡 真司

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