BARを開けた一つのきっかけは、地元の様々な種類のお酒が一同に飲めるお店が見当たらなかったこと。

ワインやブドウの産地が勝沼から穂坂や明野地域に広がりを見せていたこと。
キリンビールのビール職人が清里でビールを作っていること。
白州にサントリーウィスキーの工場があること。
水が有名な地域だから日本酒は勿論色々あるだろう。

移住前の知識はそんなものでしたが、やがて小淵沢町が北杜市に編入されると、、、あるある。北杜市内産だけでもほとんどの種類のお酒が揃ってしまうという、お酒好きにはたまらない魅力が詰まった地域でした。

それからというもの、この15年程の間、お酒に関しては毎年のように新しい波が押し寄せ、ずっと上昇線を描いているように感じます。世代交代、新規参入など、若い力の浸透と共に、この先どんな熟成を見せてくれるのかが益々楽しみにな北杜ブランドなのです。

15年前の移住時、丁度その数年前から国産ワインにもイノベーションが起こったように感じていて、山梨のワインもどんどん美味しくなっていきました。最初に勝沼で訪れたワイナリー、中央葡萄酒さんで北杜市の明野町にミサワワイナリーをやっている事を知り、その甲州種を使った白ワインは国産ワインの代表銘柄としてその後どんどんと躍進を続けています。ブドウ作りも年々盛んになり、近年は小淵沢町にも葡萄畑を有したワイナリーが誕生しています。

移住前から美味しくて有名だった国産ウイスキー白州ですが、2006年ごろはまだウイスキー人気は下火でした。当時の白州蒸留所では何とかウイスキー人気を復活させたいというサントリーさんの話を聞いていた程です。その頃は缶コーヒーのBOSSや南アルプスの天然水の人気に完全に押されていましたから。お陰でとでも言うべきか、限定生産の美味しいウイスキーが飲めたのもこの頃です。まだそのすぐ後にやってくるハイボールの大ブームなど知る由もありません。そして訪れるハイボールブームによって北杜の名を冠したウイスキーも、一番身近だったシングルモルト白州10年も姿を消したのは残念でしたが、そろそろ10年。森の中で熟成を続ける原酒たちが今か今かと出荷を待ちわびているのでは無いかと思うと、楽しくなってきてしまいますね。

古くから名水を有していた地域ですから、日本酒は勿論いくつかの醸造所がありました。七賢の山梨銘醸さんの他、八ヶ岳には谷櫻酒造さん、八巻酒造さん、そして武の井酒造さん。丁度息子さん達世代が酒造りを始めた所もあって、時代を見越した新しいお酒が毎年のように生まれています。地元での酒米作りも広がっていて、今後も本当に楽しみです。

ビールもお土産用がメインに感じられていた地ビールブームから、こだわりのクラフトビールへと変貌を遂げる時期でした。ハートランドや一番搾りの醸造開発責任者だった方の造る清里ROCKのタッチダウンは既に有名でしたが、その後のクラフトビールブームへの流れの中で、なんと「国産ホップ発祥の地」が北杜市長坂だったと知り驚きます。さらにそのホップを求め、継承、栽培と広がりを見せている最近。全国こだわりの醸造家さん達からも北杜市産のホップが注目を集めるようになりました。続々とリリースされる新しいビールからも目が離せません。

焼酎は知る限り武の井酒造さんの米焼酎。これも皆さんに好評の美味しい焼酎です。ウィスキーの白州工場があることで、ほぼ全種のお酒を網羅した北杜市。そのどれもがクオリティも高く、全国に、世界に発信されています。また農家さんとも一緒になって原材料の栽培へのこだわりも年々強くなっています。これだけ醸造家が集まり、これだけの種類を生産している市であることは、全国でもなかなか珍しいことなのでは無いでしょうか?

農業とクラフトマンシップと自然環境と観光、北杜市の魅力全てを繋ぎ、注ぎ込んで出来上がる一本のボトル。

さらに進化を続ける北杜市産のお酒。
Lamps Lodgeでもぜひ地元のお水と氷と共に、その味を楽しんで下さい。