まだまだ新緑の香りする木々に中を抜けると突然目映いばかりの白い砂地が視界いっぱいに広がり、驚嘆の声をあげずにはいられませんでした。
3月に当時まだ小淵沢に在住だったアルピニスト松原尚之さんに妻がインタビューした際に、「八ヶ岳周辺の大好きな山ベスト3」の中にただひとつ入ってた1000m峰日向山(ひなたやま)。その日からあっさり我が家での家族登山最初は日向山に、と決まっていたのでした。
日向山は市内白州町。小淵沢から見ると甲斐駒ケ岳の丁度手前に位置する標高1660mのハイキングコース。登山口「矢立岩」まで車で向かい、そこから標高差600m、頂上までおおよそ1時間30分の登山道です。ちょっと3歳の息子の山デビューにはキツイかな?とも思いましたが、よく踏み固められた登山道と上の息子が結構登りを楽しんでいたことに期待し、まあ最悪ずっとおぶって登る事も覚悟しながら快晴の中、4人でお弁当を持って山に向かいました。
登山口からはいきなり子供には大変そうな急勾配。しかしはしゃいだ子供達は急ピッチ。ハイキングコースと書かれていますが、これは立派な登山道。多少ハラハラしながら子供達のペースに巻き込まれるもその後はゆっくりとジグザグに登って行く感じになったので一安心。蝉(!)が鳴きしきる緑の林の中を気持良く歩いて行くことが出来ました。
1時間30分を少し過ぎ、明るくなった辺りで東陵に着き、ちょっとの下り、また登ってまだ林の中の山頂に到着。そこから少し先に雁ガ原はありました。
雁ガ原は花崗岩がそこだけ剥き出しになった砂礫地帯。小淵沢からも良く見える白い所。風化した花崗岩と、辺り一面の花崗岩砂はそこだけが異様な輝きで目を奪います。丁度日も出ていたので、林を抜けいきなり広がる展望と輝きに唖然。何か信じられないような景色に出くわした気分になります。目の前の雨乞岳や大岩山、そこから連なる南アルプス、右手には小淵沢の町が全て見下ろすことが出来、八ヶ岳も全てを手に取るように眺めることが出来ました。しかし眺めよりも何よりも、その白砂青松ぶりは山に登ったというより、海に出た!という感じ。いきなりの眩しさに目を細める感じとワッという感動は石垣島あたりで木々を抜けてビーチに出た感覚まさにそれ。新緑の山の緑と真っ青な空は頭の中で混じり合いエメラルドグリーンの海となり、その昔フォッサマグナのこの場所はやっぱり海だったんじゃないかと確信してしまう程の大海原。何とも不思議な感覚でした。
ま、子供は早速砂遊び。でも急斜面ですから皆さん本当気をつけて下さい。
下りは遊びながら子供達も疲れた顔せず歩ききりました。3歳の息子も5歳の息子も良く頑張りました。お薦めです。ヒナタヤマ。