絵を描く時間

この日もお客様を送り出し、掃除の合間に外に出てみると、道ばたにイーゼルを立てて座り込む女の子。ありそうで無かったシチュエーション。

彼女が描いていたのは普段見慣れた道。

自分が高校の美術部の合宿で伊豆・富戸の道路脇に座り込み、ただそこにある小道を描いたのはもう25年前。懐かしく思いながら「もう、あの景色も変わったかな?」などと考える。でも今彼女が描いている道は20年前もそんなに変わらないんじゃないだろうか?と考えたり、何だか急に富戸に行きたくなったり・・・

夕方、外に出てみるとまだキャンバスと睨めっこしている彼女。
にわか美術部だった自分は、さっさと絵を描きあげて(描き上げたつもりで)午後には遊びに行ってしまってました。

次の日も外に出ると彼女の姿。
この日の絵には前日までの絵に光が入り、一段と輝きを増したものでした。

何となく毎日通っている道が、素敵なもの見えてくるのが不思議。
そういえば富戸で描いている時にも、通りすがりのお婆ちゃんに「何だか外国のどっかみたいで洒落てるねえ」なんて笑顔で言われたことを思い出しました。おばあちゃんも嬉しかったのかな?

家の裏に回ると、今度は宿泊のお客さんがロッヂをスケッチしていました。

昨年夏も絵を描きに長期滞在して頂いた横浜のお客さんがいらっしゃいました。それに触発され、その後大きなキャンバスと油絵用具を実家から小淵沢に持ってきたものでした。
しかし「明日描こう」なんて思っているからなかなか出来ない。
そのままもう一年が過ぎてしまったことを知りました。

子供の絵を楽しんだり、人の絵を見に行ったり、デジカメ片手に写真ばかりのここ3年。
シンプルだからこそ難しい自分の絵を描く時間です。

「描けばいいのに」

宿泊のお客さんに言われました。

その通りです。頑張ります。

彼女は明日の午前中に描き上げ、午後には帰るそう。
さて、どんな作品が出来たのでしょう?

ちょっと気分もリフレッシュ。お陰さまで懐かしく楽しい時間を持てました。

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