水墨、墨彩画家、西松凌波先生と出会ったのは6歳のとき。今から36年前の話です。
僕は小学一年生。先生は小学校の図工の先生。
当時からお洒落で粋だった先生がすぐに大好きになって、絵を描いたり、工作することに、自然と夢中になっていました。授業中は駄洒落の連続。何を聞いても駄洒落で切り返す。小学生ながらこっちも一生懸命駄洒落を考えて口にすれば、必ず答えは「そんなシャレは止めなシャレ」。今振り返れば図工なのに言葉の遊びも沢山教えてくれた時間でした。
昨年暮れの事、そんな先生と卒業以来(何らかで数度は会ったことがありましたが)ほぼ30年ぶりに偶然会いました。こちらで俳句の会の集まりがあって、宿泊で偶然ウチを紹介されたのです。
その句会に迎えに行って、2人で目が止まり、
「先生?」
何ら30年前と変わらぬその姿に思わず口に出た言葉。
「お〜コバヤシくん」
2人の抱擁に唖然とする周囲の皆さん。
そんな再会から9ヶ月。長野県安曇野市で個展があるということで、早速(内緒で)顔を出しに行きました。
様々な画法で表現してきた先生の辿り着いた今の絵が墨彩画。
品があり、格があり、力があり、優しさがあり、、
恐らく筆に墨を付けたらサッと一筆で書き上げるであろう絵。
やり直しのきかないその瞬間が絵の力となって伝わります。
そして中国の色墨に彩られれば瞬く間に華やかで粋でお洒落な西松凌波の世界に。
品格に満ちた絵ながら、駄洒落の授業を思い出すのか、先生の絵はどれも楽しさに溢れています。
今回は沢山の色墨や筆に囲まれたアトリエさながらのテーブルに案内され、初めてそれを見て、触ることが出来ました。
出掛けに庭に咲いていた秋明菊を束にして持って行ったのですが、いつの間にやらその絵が短冊に。
オリジナルの短冊掛けがこれまた素敵なのですが、それに飾った特別な今日の絵を頂いて帰りました。
この短冊、和室に飾らせて頂きました。ぜひご覧下さい。
安曇野、墨彩画、初秋、先生、生徒、思い出、鎌倉、小淵沢・・・
いい感じです。
そう、まだまだ先生も勉強し続けています。
身が引き締まる思いです。